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お知らせ
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発熱外来からの緊急提言

2021年8月14日の時点で全国、神奈川県内の新型コロナウイルスの感染者数は過去最悪を更新しています。

海老名市に対して発熱外来の立場から寄稿を行う予定です。ご一読いただき、感染予防、ワクチン接種の推進の理解を深めていただきたいと存じます。

〜緊急提言 発熱外来の現場から〜

「コロナが終わったら」はいつ来るの

昨年以来、コロナで世界が一変し、多くの人達が我慢を強いられ、辛く、苦しい日々が続いています。
「コロナが終わったら」暑いマスクを外そう、気兼ねなく出かけよう、家族に会おう、旅行に行こう、美味しいものを食べに行こう、、以前のような生活を取り戻そう、皆さん、そんな日々を心に描いて頑張っているのだと思います。

しかし残念ながら2021年8月中旬の段階で、感染者数は過去最悪を更新しています。コロナが終わるどころか、これからが本番なのではと思うくらい、辛く悲しい現実が目の前にあります。まだまだ、「コロナが終わったら」の日を迎えられる予想が全く立たないのです。

発熱患者を診る医療機関を訪れる人たちは急増し、地域の基幹病院はクラスター発生で閉鎖され、重症患者を乗せた救急車が行き場がなく立ち往生しているのが今の市内の医療機関の現状です。このままでは医療崩壊は目の前に、そして社会も立ち行かなくなってしまう危機的状況なのです。

でも一つだけ希望が見えます。ワクチン接種を終えた高齢者の患者さんが減少しているということです。コロナワクチンが有効な手段だという事だと、現場の手応えとして感じているのです。

コロナが終わるには3つのシナリオが考えられます。一つはウイルスが何処かに行ってくれること。二つ目は特効薬ができること。そして三つ目は多くの人が免疫を獲得してコロナに負けない様になること、です。
残念ながら一つ目は期待できません。インフルエンザのように季節が過ぎれば収まるかという、淡い予測は吹き飛びました。
二つ目の特効薬は世界中の製薬会社が血眼になって開発を進めていますが、まだまだ時間がかかりそうです。普及までには多くの犠牲者が出るでしょう。


三つ目が、ワクチンです。手洗いマスクやソーシャルディスタンスという予防策はもちろんですが、かかりにくくする・重症化させない、という点では今、私たちが手にすることのできる、唯一の「武器」なのです。

コロナワクチンは、今までの他のウイルスに対する地道な研究と、発達したIT技術のおかげで驚くべき短期間で実用化に漕ぎ着けました。実はこれは物凄いことでまさに人類の英知を結集したといっても過言ではありません。

ところが残念ながらワクチンに対する否定的な意見があり、そのせいで特に若い人への接種が進まないのではという懸念があります。
新しいワクチンへの不安から効果や副作用を心配する気持ちはわかります。一定の割合で接種後に発熱や腕の腫れ痛みといった「副反応」はありますし、ごく稀にですが強いアレルギー症状などの「副作用」もあります。
しかしそれとは別の、「遺伝子が操作される」「不妊になる」といった、根拠のないデマとも言える情報で、ワクチンを避ける意見があります。


これらは医学的・統計学的に根拠がかなり乏しいのに、ネットで無責任に広がっています。ワクチン接種する・しないは個人の意思が尊重なければいけません。ただしそれはデマなどではないキチンとした情報に基づいて判断されるべきなのです。

副作用のないワクチンや医薬品はありません。この為我々は万が一に備えて体勢を整えて接種に臨んでいます。また、ワクチンの効果だって100%では無いので、接種後もマスク着用や感染予防対策は必要です。しかし「絶対」に有効で、100%安全・安心というものは世の中に存在するのでしょうか。今の医療現場は「絶対」、を待っている余裕はありません。コロナは今、すごい勢いで襲ってきているのです。ワクチン接種は、待った無しの状況まで来ております。

一度、コロナに罹ってしまったら、ワクチンの副作用の割合など比べ物にならないくらいひどく辛いことが起きます。罹っている時の症状も厳しいですが、重症化した場合、命の危険に晒されるのはもちろん、回復しても後遺症が残る事も多いです。コロナにかかった事のある方の多くは、あの辛さ、恐怖が2度と嫌だからとワクチンを希望されます。

コロナ最前線にいる1人として今、強く感じていることは、ワクチンが現時点での唯一の希望だということです。
コロナを終息させるには、我々医療従事者だけではもう限界なのです。これ以上の緊急事態宣言や社会生活の制限も、多くの人にとっても限界なはずです。
社会にいる人全員が、他人事として考えるのではなく、出来ることを出来る限り行う。今はそれが求められていると思います。「いつかコロナが終わったら」を迎えるためには、市民一人一人、みんなの協力が必要なのです。どうか皆さん、力を貸してください。みんなでこの危機を乗り越えていきましょう。